必要な情報を

聴こえない、聴こえにくい方へ、その場の音声を書いて伝える【要約筆記】という方法があります。高齢になり聴こえにくくなる人が多いなか、さらにマスク越しではお店や金融機関、受診のときなど相手の話がわからなくて困ったり、聞きたい講演会があっても参加をあきらめたり、そんな人が多く見受けられます。
そして数は少ないのですが【盲ろう者】と呼ばれる方々がいます。聴覚にも視覚にも障がいがあるその方々に、手に軽くふれる手話や、大きな手書き文字、パソコンで拡大した文字、点字などで情報を伝えるサービスの担い手がいます。
これら、障害者意志疎通支援事業の担い手数人で、庄内地域で唯一この事業を制度化していない自治体の担当者にお願いに行きました。「山形県では全市町村に【障がいがある人もない人も共に生きるまちづくり条例】ができたのでお願いに伺いました」と訪ねました。
一緒に行く予定だった難聴者の会の代表は、急きょ都合で出席できなくなり、ふだんの困りごとやこれまでの葛藤、災害時に必要な支援、行政などへの要望をA4用紙5枚にまとめてくれました。
盲ろう者通訳・介助員からは、コミュニケーションが困難な盲ろうの人たちは、まわりとの接点が極端に少ないこと、地域で存在すらも知られていないために、家族等が面倒を見られなくなったとたん生活が立ち行かなくなってしまう、と切実な話が出ました。
担当者の方は、7月に行われた山形県身体障害者福祉大会で、私たちの通訳を見てくれていました。話を丁寧に聴いてくれましたが、今日まで自分の自治体だけこの事業をしていないことは知らなかったそうです。
以前、成人式に参列される新成人から、式典での手話通訳を依頼されたが制度がないと返答したと。結局その方はコロナ感染拡大で参列されなかったと・・・。
ボランティアでやってくれる手話通訳者をさがせなかったのかな・・・オンラインが当たり前の時代、遠隔通訳できるのに、と残念な気持ちになりました。
そして、事業ができて終わりではなく、利用してもらえるためにどうしたらいいか提案しました。
広報紙に載せる、住民が多く集まる会合で通訳しているところを見てもらう、保健師やケアマネ、民生委員から伝えてもらう、子どもや一般向けにボランティア講座を開いて知ってもらうなど・・・。
身近な人にすすめられることで利用する気になったり、体験することで必要性を感じてもらえるかもしれません。
そして、事業はできても実績なしとならないように・・・。
まずは庄内すべての市町で!
必要なひとに
必要なときに
必要な情報を
(つづく)